藤井製作所プレス加工一貫生産・樹脂成形・両技術の融合
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押出成形のトラブル完全ガイド

押出成形不良を防ぐ品質管理体制
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現在成形している製品で、反りや外観不良、寸法ばらつきといった現象が発生しているものの、
依頼している成形会社に相談しても
「押出成形では仕方がない」「条件はこれ以上触れない」
といった説明で終わってしまった、という経験はないでしょうか。

確かに押出成形には工法特有の制約があり、すべての不具合が簡単に解決できるわけではありません。
しかしその一方で、本来は原因を切り分けられるにもかかわらず、
「そういうもの」として放置されているトラブルが存在する
のも事実です。

今起きている現象は、本当に押出成形という工法上、避けられない問題なのか。
それとも、材料選定・ダイ構造・成形条件のどこかにまだ手を打てる余地が残されているのか。

本ページでは、押出成形でよく見られるトラブルを「症状」と「原因となる専門的な現象」の両面から整理し、本当に解決できない問題なのかを見極めるための視点を①症状から探す構成と②専門的な現象名による原因整理の二層構造でまとめています。

寸法・形状に関するトラブル

反り・曲がりが発生する

押出成形品が冷却後に反ったり、長手方向・断面方向に曲がりが生じるトラブルは非常に多く見られます。冷却水槽内での温度分布の不均一や、引取速度のアンバランス、肉厚設計の偏りなどが主な要因です。

一時的に条件調整で改善する場合もありますが、量産に移行すると再発するケースも少なくありません。このような場合、ダイ内部での流動合流不良や、断面形状そのものが原因となっている可能性があります。

反りの背景には、後述するスパイダーマークなどの専門的な現象が関係している場合もあり、条件調整だけでは限界が生じます。

寸法が安定しない・公差に入らない

製品寸法が安定せず、公差内に収まらない場合、吐出量の変動や引取速度のばらつき、材料粘度の変化などが複合的に影響しています。特に量産時にのみ発生する場合は、連続運転による温度上昇や材料劣化も考慮する必要があります。

このような寸法不安定は、サージング(脈動)と呼ばれる現象と深く関係しているケースが多く、設備構成やスクリュー設計まで含めた検討が必要になります。


外観に関するトラブル

表面に縞・模様が出る

製品表面に縞状や模様のような痕跡が現れる場合、ダイ内部で溶融樹脂が分断・再合流する過程に原因があることが多く見られます。パイプやチューブ製品では特に発生しやすい傾向があります。

この症状は、後述するスパイダーマークという専門現象に該当することが多く、ダイ構造に起因するトラブルとして整理する必要があります。

表面にブツ・異物が出る

表面に小さなブツや異物のような突起が現れる場合、材料の未溶融部や異物混入、混練不良が原因となっている可能性があります。見た目の問題だけでなく、物性低下や後工程不良につながる点にも注意が必要です。

このような症状は、フィッシュ・アイ目ヤニといった現象が関係しているケースがあります。


内部欠陥・物性に関するトラブル

気泡・ボイドが発生する

製品内部に気泡や空隙(ボイド)が残る場合、材料中の水分や揮発成分、脱気不足が原因となります。外観上は問題がなくても、強度や耐久性に影響を与えるため、見逃せないトラブルです。

材料乾燥条件の見直しに加え、設備仕様やベント構造の適否を確認する必要があります。

物性が安定しない

同じ条件で成形しているにもかかわらず、物性値にばらつきが出る場合、材料ロット差や混練状態、冷却条件の違いが影響している可能性があります。

内部に微細な未溶融部や異物が残ると、表面には現れなくてもフィッシュ・アイとして物性ばらつきの原因になることがあります。


生産安定性に関するトラブル

吐出量が安定しない(脈動・サージング)

材料の送り出しが周期的に変動し、製品寸法や形状にムラが出る現象をサージングと呼びます。スクリュー1回転中の負荷変動や、フィードゾーンでの材料軟化不安定、バレル・ダイの温度制御不良など、発生要因は多岐にわたります。

サージングは条件調整だけでなく、スクリュー構造やL/D比、ブレーカープレートの有無など、設備面の影響を強く受けます。


押出成形でよく見られる専門的な現象(原因側の整理)

ここでは、押出成形で頻繁に見られる専門的な現象について、なぜその現象が起きるのか(原因)とどのように考えて対処すべきか(解決策の方向性)を整理します。症状としては別の形で現れていても、根本原因がこれらの現象に集約されるケースは少なくありません。


スパイダーマーク(Spider Mark)

発生原因

スパイダーマークは、パイプやチューブ用ダイにおいて、マンドレル(心棒)を支持するスパイダーによって溶融樹脂が一度分断され、再合流する過程で発生します。分断された流れが十分に融合しないままダイ出口に達すると、その流動痕跡が縞状となって製品表面に残ります。ダイランドが短い場合や、流速差・温度差が大きい場合に顕在化しやすくなります。

解決策の考え方

ダイランドを十分に長く取り、溶融樹脂が再び均一に融合する距離と時間を確保することが基本となります。また、マンドレル形状の最適化や一部を膨らませた設計、チョーカーリングの設置によって流動バランスを整えることも有効です。条件調整で改善しない場合は、ダイ構造そのものの見直しが不可欠となります。


フィッシュ・アイ(Fish Eye)

発生原因

フィッシュ・アイは、材料中に存在する異物や未溶融部、重合度差のある樹脂粒子が核となって形成されます。混練不足や温度条件の不適合により、樹脂が均一に溶融・分散しない場合に発生しやすくなります。PVCでは配合の違いや可塑剤吸収性の差が影響することも多く、単一の原因ではなく複合要因で起きる点が特徴です。

解決策の考え方

材料管理の徹底、異物混入防止、混練条件の最適化が基本となります。ただし、条件調整だけで解決しない場合も多く、スクリュー構造や滞留部の有無、設備全体の温度分布まで含めた見直しが必要です。再発性が高い場合は、材料設計段階からの検討が有効です。


メルトフラクチャー(Melt Fracture)

発生原因

メルトフラクチャーは、押出速度を過度に高めた際に、ダイ入口部で溶融体の流動が乱れ、流速が不規則になることで発生します。せん断応力が急激に高まることで、ポリマー鎖が部分的に破壊されることも一因と考えられています。流路に死角や急激な断面変化があると、発生リスクが高まります。

解決策の考え方

ダイ入口部にテーパーを設け、溶融体が滑らかに流入できる構造とすることが有効です。押出速度の見直しと併せて、末広がり形状を持つダイ設計を検討することで、流動の安定化が期待できます。


サージング(Surging)

発生原因

サージングは、吐出量が周期的に変動する現象で、スクリュー1回転中の負荷変動、フィードゾーンでの材料供給不安定、混練不足、温度制御不良などが複雑に絡み合って発生します。特にスクリュー設計やL/D比が適切でない場合、脈動が顕著になります。

解決策の考え方

ヘッド圧を適切に確保することが重要です。均一な材料ブレンド、L/D比の長いスクリューの採用、ブレーカープレートの設置、バレル・ダイ温度の安定化など、設備と条件の両面からの対策が求められます。


プレートアウト(Plate Out)

発生原因

プレートアウトは、安定剤・滑剤・着色剤などの添加剤が樹脂中から分離し、バレルやダイなどの金属表面に付着する現象です。PVCでは特に発生しやすく、添加剤と金属表面の極性の相性や、材料中の水分が大きく影響します。

解決策の考え方

添加剤配合の見直しが基本となります。Ba比率の調整やZn添加、有機錫系安定剤の併用などが有効な場合があります。また、材料を十分に乾燥させることで発生を抑制できるケースもあります。


目ヤニ

発生原因

目ヤニは、樹脂の熱劣化物がバレルやダイ内面に蓄積し、加工中に剥離・流出することで発生します。プレートアウトと関連して起こることが多く、金属と樹脂の界面で生成された劣化物が蓄積することが原因の一つと考えられています。

解決策の考え方

ダイ先端部に十分な樹脂圧をかけ、滞留を防ぐことが重要です。材料乾燥の徹底や、温度条件の最適化も有効な対策となります。


ブルーム/ブリード

発生原因

ブルームやブリードは、配合成分が樹脂中に保持されず、表面に浸出することで発生します。相溶性の低い可塑剤や滑剤を多量に使用した場合に顕著となります。

解決策の考え方

材料配合の見直しが基本となります。評価方法として、温水浸漬試験などを行い、長期的な安定性を確認することが有効です。


マイグレーション(Migration)

発生原因

マイグレーションは、可塑剤や添加剤が高濃度側から低濃度側へ移動する現象で、材料の表面活性や化学的安定性が影響します。異材接触や食品包装用途では特に問題となります。

解決策の考え方

高分子可塑剤の使用や、移行性の低い材料選定が有効です。用途条件を踏まえた材料設計段階での検討が不可欠となります。


条件調整だけでは解決しないトラブルについて

押出成形のトラブルの中には、成形条件の調整だけでは解決できないものが存在します。ダイ構造、材料選定、製品断面設計などが原因となっている場合、工程全体を俯瞰した見直しが不可欠です。


押出成形トラブルのご相談について

押出成形のトラブルは、図面や条件表だけでは原因を特定しきれないケースが多くあります。当社では、成形条件だけでなく、ダイ設計・材料特性・工程全体を踏まえた視点で原因の切り分けを行っています。

現在お困りの症状がございましたら、内容整理の段階からでも構いません。

セカンドオピニオン的な立場で相談にのりますので、押出成形に関するトラブルについて、お気軽にご相談ください。

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